1人静かに泣いた夜。人生はまた始められる。

さいしゅっぱつ BLOG

内田幸子 コーチング

はじめに

再出発——この言葉が、こんなにもあたたかく感じる日が来るなんて。

かつての私は、「再出発=敗北」「やり直し=人生の失敗」だとどこかで思っていました。強く、前に進み続けることが“成功”で、止まったら負け。

でも、止まりました。ちゃんと、止まれました。

そしてそこから、“思っていたのとは違う形のスタート”が始まったんです。

これは、私が「1人で泣いた夜」をきっかけに、自分の人生をもう一度選び直していった、その静かで、でも確かな再出発の記録です。

誰かの心にそっと灯るものがありますように。


止まることが怖かったあの頃

がむしゃらに走り続けていた日々。

家庭のこと、仕事のこと、社会のこと。いろんな“期待”や“役割”に応えようと、予定を詰め込んで、先のことばかりを考えていました。

「このまま止まったら、もう戻ってこれないかもしれない」
「止まる=置いていかれる」

だから、無理をしてでも走っていた。

…けれど、身体も心も、とうに気づいていたんです。

ちゃんと、“止まりたがっている”ことに。


誰にも言えなかった夜の涙

あの日の夜のこと、今でも覚えています。

コロナ禍で、外の世界が止まっていたあの時期。

自分も止まっていいはずなのに、なぜか焦りだけが増して、誰にも会えない寂しさと、静かな家の中で、

ふと、涙がこぼれたんです。

声を出すこともなく、ただ、ポロポロと。誰にもバレないように、リビングの隅っこで。

その時は、自分が何に泣いているのかも分かりませんでした。

でも今ならわかります。

“無理してた自分”を、やっと自分が見つけてあげた瞬間だったんだって。


再出発は「勇気」ではなく「正直さ」から始まった

翌朝、目が腫れていたけれど、気持ちはどこか軽かった。

何かが大きく変わったわけじゃない。

だけど、“自分にだけは正直になろう”と思ったその瞬間から、再出発が始まったような気がしたんです。

「私は疲れてる」
「私は今、わからない」
「私は、このままじゃ嫌だ」

そんな言葉を、誰に言うでもなく、心の中で唱えてみる。

それだけで、少しずつ世界の見え方が変わっていきました。


思考を整えるという選択

その頃、ある人のメールから、とある「説明会」に参加してみることにしました。

なんとなく敷居が高く感じていたけれど、“今の自分を何とかしたい”という想いが勝って、”自分が商品になる”講座に飛び込みました。

実は、その講座の中で、私は初めて“自分”というものに本格的に触れたんです。

「それ、ぷちさんの本心ですか?」 「それって“社会”が言ってることですか?」

たった数十分で、ずっと心の奥にしまっていた思考のクセが浮き彫りになっていったんです。

あなたにしかできないことがある

頭じゃなく、心で「なるほど」と感じたのは、あれが初めてだったかもしれません。


自分の地図を描くということ

それから私は、自分の人生の過去・現在・これからを整理しながら、自分の“本当の望み”と向き合っていく独自のプログラムを作りました。

そのプログラムこそが「Re:Life Map」です。

自分の内面を視覚化して、自分自身を肯定し、未来へ踏み出すための手がかりを掴む時間。

初めてこのMapを描いたとき、私は思いました。

「私は、ちゃんと生きてきたんだ」

失敗してきたんじゃなくて、“選んできた”。

そして今もまた、“選び直すことができる”。

そんな風に、地図を見ながら、自分のことを少しだけ誇らしく思えたのを覚えています。


原点にあるのは「私にしかできないこと」への願い

そもそもの始まりは、「私自身が商品になれたらええのにな」という想いからでした。

小学校3年生のころから、「私にしかできない何かってないんかな」「目の前の人の人生に寄与するような生き方がしたい」と、ずっと感じていたんです。

でも、どうやってそれを形にすればいいのかがわからなかった。

 あなたにしかできないことがある という言葉に、心が反応しました。

「これや……これが、ずっと探してたやつや」

今でも、あの瞬間の感覚をはっきり覚えています。


決断と覚悟——そして、信じてくれた人

そこから私はコーチングの世界へ飛び込み、様々なクライアントと向き合っていく…

正直、当時の私が起業することはハードルが高く感じ、ものすごく悩みました。でも、「これは私に必要なことや」と確信して、夫に内緒で仕事を辞め、コーチとして生きていく決心をしました。

後からそのことを正直に話したとき、怒られると思ってたけど——

彼は怒らなかった。

「本気でやるなら、俺はサポートするよ」

その言葉に、私はどれだけ救われたかわかりません。

“いい人と結婚できてありがたい”って、心から思いました。


うまくいかない時間にこそ、意味があった

それからは、まさにチャレンジの連続でした。

目標は、クライアント契約を取って、100万円を達成すること。

周りの仲間が次々に契約を決めていく中で、私は何度も自信をなくしました。

初めての契約は1件、20万円。

それでも、その1件は、私にとって人生で初めて「私という存在にお金を支払ってもらえた」瞬間だったんです。


過去との向き合い、自分の解放

その後は、自分の在り方そのものと向き合う時間が始まりました。

拒絶、ブロッキング、そして心の奥にしまい込んできたことたち。

幼い頃に受けた虐待や、親との確執、すっかり封印していたトラウマが、少しずつ浮かび上がってきたんです。

でも、それでも、「ここで逃げたら一生同じことを繰り返す」と思っていたから、踏ん張った。

今思えば、あれが私の人生の“底を打った時期”だったのかもしれません。


「私には価値がない」と思っていた過去の私へ

コーチングに出会うまでは、私は自分自身に価値を感じられていませんでした。

でも、他者に貢献することだけはできると思っていた。

他人の役に立つことでしか、自分の存在価値を証明できなかったんです。

だからこそ、ずっと「自分さえ我慢すれば助かる人がいる」「我慢こそが正しさ」だと信じてた。

でもそれは、結果的に自分をボロボロにして、子どもたちにさえ悲しい思いをさせていた。

母を自死で失ったあと、さらに自己犠牲が加速して、シングルマザーでお金も時間もない中、他人のために消費し自身も消耗していた。

そんな自分と、もう決別しようと思ったんです。


楽しい方を選ぶという哲学

それでも、私にはずっとひとつだけ、譲れない価値観がありました。

それは、「迷ったときは楽しい方を選ぶ」ってこと。

小さな頃からずっと、正しいより、楽より、「楽しい」を選びたかった。

でも実は、「楽しい方を選ぶ」ってめっちゃ大変。

だって、自由には責任がついてくるから。

それでも、私はその選択を信じてきたし、今もそれが私の人生の核になっています。


おわりに:再出発のその先で、今の私が信じていること

今、私は周りの人に支えられながら、日々を楽しく過ごしています。

自分に許可が出せるようになったし、鼻くそほじってベッドでダラダラしているような“何もしていない自分”にも、ちゃんと価値があるって思えるようになった。

ありのままの自分で、目の前の人の人生に寄与できている。

「楽しむこと」をベースに、愛と自由と貢献を大切にしながら、

私は今、人生の理念に従って“面白がって生きる”ことを選んでいます。

これが、私の再出発のストーリー。

もし、あなたにもいつか再出発のタイミングが来たなら、

そっと自分にだけでも、正直になってあげてください。

そして、また歩き出してみてください。

その一歩は、きっと大丈夫。

私が歩けたなら、あなたもきっと大丈夫やから。


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